中3生の英語力向上プログラム その1

英語4技能指導

9月に代員の教員として赴任した公立中学校で中3生の英語を担当。圧倒的に不利な状況からどこまでコミュニカティブな授業ができるか、の挑戦がスタートしました。目指すは・・・

① 英語4技能をバランスよくのばすこと
 単に点数だけ伸ばそうとするならどんどん宿題を出してとことん追いかけ、文構造を徹底して叩き込んだり、長文読解をときまくればいい。でも、やりたいことは違うんです。やっぱり思っていることを話したり、友達とやりとりをしたり、まとまった長さの文を書いて発表したりさせたいわけです。

② 生徒が英語を好きになること
 すでに、相当数の英語嫌いの生徒がいると見て取れます。英語と数学では数学のほうが点数がいい生徒が圧倒的に多いようです。「勉強しないからねえ、基本的に暗記系が苦手でね(;^_^A 」との担任の先生のお声もあります。でも、英語は本来暗記だけの科目じゃないし!声に出して外国語でコミュニケーションすることは楽しい!とわかってほしい。さらに、自分の努力が実を結んだことで達成感を得てほしい。それが英語好きにする道だ!!!と、思うわけです。

1か月が経過、折しも学校はコロナ禍の下、短期間のうちに各種行事の準備と練習が急ピッチで進行しています。そんな中、集中して英語学習に取り組める環境では全くない時期。私の焦りもかなりのピークに達しております(笑) そこで、今日はここまでの経過をご報告します。

音読中心のspeaking を鍛える授業 VS 文法復習メインの受験英語指導

授業では文法事項の説明を極力短い時間でシンプルに終わらせて、教科書本文の音読とリテリングに重点を置いています。生徒といえば、こちらが何かやろうとするたび、「えっ!!」「何が始まるの?」「何?何?何?????」的な反応の嵐!!(笑)

ペアでの音読や日→英への変換、そしてリテリングを相手を変えながらやってみることで、英語をチャンクごとに理解し、チャンクごとに暗記し、そのチャンクを使いながらしゃべる!という流れをつかむ・・・その入り口くらいには立てたかなあ、と思っています。

この未知のものに対する生徒の反応を私自身、かなり面白がってるな、と自覚しつつ、担当して1週間後、第1回の入試形式の実力テストで担当クラスが2つとも、私の予想の平均点を大幅に下回る点数をたたき出してくれたときには、「ヤバい!路線変更も必要か!?」と感じました。speaking やってる場合じゃないかも。と。

いやいや、やはりここは生徒の努力と好奇心を信じよう・・・・(笑)

というのも、授業中や授業後の彼ら、彼女らの反応を窺っていると、多くの生徒が、「先生!英語、どうやって勉強したらいいですか?」とか、「私、英語、1年のとこからわかってないんです。どうしたらいい?」はたまた「先生interested とinteresting って何がどう違うんですか?」などなど大小様々な英語学習に関する疑問をぶつけてくるようになってきたんです。

よしよし・・・英語に対する興味はわいてきたってわけね。

また、初めてのリテリングの発表をしたとき、Any volunteer?の声にさっと手を挙げ前に出てきてくれた男子生徒がいました。何と!英語が大の苦手な、でも愛すべき目立ちたがり屋、ちょっぴりやんちゃ君です。クラス中が「おーーー!」とどよめいています。私が黒板に描いたへたくそなイラストや地図を指差して This is Alaska. This is Juneau. This cave blue!  のような単純な、しかも文法間違ってる英文で3文ほど話してThank you. で締めてくれました。本人は「目立ちたい!!」の一心かも(笑)しれませんが、日本語感満載の発音にもかかわらず自信満々の悪びれない発表ぶりに一同大いに拍手をして勇気を讃えました!

これなんです。こんな生徒がいてくれるとクラス全体がパーッと明るくなり、表現しようというムードができあがっていくんですよねえ。まだまだこれからですが、幸先のいいスタートとなりました。

こんなに素直なリアクションをしてくる生徒たちを見ていると、「やはり点数だけ取りにいってもだめだ!みんなの気持ちに応えられる授業をしたいなあ、ブレずにいかなくちゃ!」と心を決めました💗

英語で表現することの楽しさを知る

受け持って最初の単元が終了したときに、普段ならこの単元で学んだことを、要約し、自分の考えや意見を交えて全員がプレゼン(スピーチ)しよう!というところなのですが、あまりにも他のクラスから遅れていることもあり、レポートを作成しよう!という課題を出しました。これなら未完成でも宿題にすると家で完成させられるので・・・。

テーマは他国についての異文化理解です。教科書(Total English 3 Lesson 3)でとりあげられている「アラスカの観光について」と「インドの食文化」のうち、1つを選んで理解したことを要約するとともに自分の意見、感想をまとめるよう指示しました。すると・・・

驚きの結果が・・・。

まずレポートを提出できなかった生徒は66名中3名!その3名も、再度、やり方を伝えて締め切りを切り直し、提出の準備をしています。本文が3人称で書かれているところも多く、最悪、本文中の文を抜き出してつなげるだけでも十分にレポートになるはず(;^_^A どうしていいか、わからないという生徒もこれならできそうだと前向きに取り組んでいます。

さらに、提出されたレポートの質の高さに驚きです。あっ!文法ミスはいっぱいありますよ!でも言いたいことを表現しようとする気持ちが明らかに全面に出ているものがたくさん!

教科書の内容を概ねカバーできた上に、構成や内容がオリジナリティの高いものについてA+をつけましたが、全部で14名(out of 66名)の生徒がA+を獲得しました。

彼らが工夫している点は下記の点です。

1.オープニングの文に工夫がある
2.教科書の本文を表現を変えて別の言い方で書き換えてある
3.自分の考えやその理由についてユニークな内容が記述されている

実際に、書かれたものをALTの先生にも見てもらうと、とても驚いていました。「昨年の3年生もこの単元で似たようなレポートを書いていたけれど、ここまでオリジナリティのあるものは書けていなかったよ。これはスゴイ!」と絶賛。\(^_^)/

なぜ、彼らはここまでの作品を書くことができたのか?

その原因は下記の3点にあると思います。

〇間違ってもいいから、思ったことをどんどん英語で表そう!と言い続け、素直に応じた生徒が多くいたこと(これはこの学校の特性!大事に育てられている感じの生徒が多く、みんなすなお~~~!)
〇音読とリテリングを繰り返して、本文の表現をしっかりマスターしたことにより、スムーズに要約文が書けたこと
〇順を追って考えをまとめたり、意見を述べるのに便利な表現をモデルとして掲載したことで、簡単に英借文することができたこと

今回はwriting だけにとどめましたが、次回はプレゼン発表にまで持ち込みたいところ。子供たちの知的好奇心を信じてさらに楽しいことを提案していきたいと目論んでおります。

それではまた次回。

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