中3生の英語力向上プログラム その3

英語4技能指導

9月から担当した中3生の指導、2か月が経過しました。「英語が話せる」実感を得られることと、「入試における得点力UP」とを同時に目指そうという無謀な試み(!?)に果敢に挑戦中です・・・(笑)

今週、この生徒たちにとってはお初の「単元終わりオーラルプレゼン発表会」をしました。

初の英語プレゼン発表報告

前任校では、各単元の各セクションごとにリテリングをし、単元終了ごとにプレゼンをしていました。例えばLesson5A、5B、5Cまでそれぞれリテリングしながら終了したら最後にLesson5で学んだことは何か?同じタイトルのもとで本文内容の要約と自分の見解を入れた英語オンリーのプレゼンを全員がしていました。

昨年まで講師ではあったものの、同じ学校に4年間連続勤務することができたので、中2の最初から担当して、3年卒業まで2年間継続して担当する、ということを2学年続けて実施することができました。なので比較的シンプルで平易な内容の2年生の英文リテリングから開始して徐々に複雑化していく3年生の教科書内容にステップアップしていく過程があり、生徒も無理なく参加できる活動であったと言えます。

ところが今回は9月時点での赴任ということで、中3の9月に突如やってきた先生に、「さあ、プレゼンやってみろ!」って言われてもみんな困るだろう(;^_^A

との判断から最初の1か月は全員による発表を封印しておりました。リテリングは行ったものの、プレゼンは無理!せめてこの課の内容について学んだことをレポートにして書く!にとどめていましたが、このレポート作成への生徒の意欲や、クオリティを見ていて、「これ、ひょっとしてプレゼンもいけるんじゃね?」(お下品で失礼!!)的な楽天的な展望のもと、ついにプレゼン発表会へとあいなりました(;^_^A

お題は伝記  ダショー 西岡京治 in Bhutan

今回のお題は What did Nishioka Keiji do in Bhutan? (Total English 3 Lesson 4)

ブータンの農業を大きく進歩させた日本人としてブータン国王から「最高に優れた人」を意味する「ダショー」の称号を贈られた西岡京治の伝記を読んでのプレゼンです。ブータンの農業を飛躍的に変えた日本人として今でも尊敬され続けている西岡京治さんを子供たちがどうとらえたか?英語で発表してもらうことに。

コロナ禍でしかも年度途中の英語担当者の交代という、ハンディの中、子供たちは素直に私の言葉に反応しながら、新しい試みにも柔軟に対応!知的好奇心と物珍しさからか(!?)ここまでよくいろいろな活動や試みをフォローしてくれたと思っています。

ただねえ。

全て英語のプレゼン原稿(平均語数:約100語)を頑張って書いて提出後、添削されたその原稿を覚え、できるだけそれを読まずに語りながら、グループ内で発表せよとの指令に、どれだけの生徒が本気で取り組んでくれるものか、正直自信はなかったんです。しかも英語嫌いな生徒や英語が苦手な生徒のほうが多いという悪条件下で・・・( ;∀;)

まず、原稿を書き、視覚的な補助となる絵を描いて提出としました。これは前回のLesson3のときと同じ要領なので、すんなりと受け入れて提出期限までにほぼ全生徒が完成させることができました。今回は、人物の伝記なので、生徒によって大きく内容が異なることも少ないわけですが、それでも、教科書本文とは切り口を変えて、構成や内容でオリジナリティを全面に出してきた作品が結構見られました。

さて、発表当日。文法や語法のミスを添削して返却した原稿を元に入念に準備した生徒もいたようです。4人グループで一斉同時スタート!1人1分程度で4人分の発表をそれぞれのグループで実施しました。

ルールとして、発表者は、自作の絵を見せながら、原稿そのものはできるだけ見ないで語る!としました。聞いている人は個別の評価表を書く!各項目ごとに1~3点の評価をして点数を記入、また、気づいたことのコメント欄には、発表者のいいところを具体的に書くように言っております。項目は発表態度(clear voice, eye contact, gestures )、英語(発音、イントネーション)内容(要約内容、オリジナリティ)です。

プレゼン発表会として、十分に成立する内容に・・・イェーイ!!

結果・・・・。

どのグループも前向きに楽しく活動できました。原稿を全て覚えており「読む」ことをしなかった生徒。また、原稿を読みつつもアイコンタクトやジェスチャーを交えて表現力を高めようとした生徒もいました。もちろん、目の前の原稿をただただ読み上げたという恥ずかしがりやもいましたよ!

正味約1分ほどですが、大人でも英語で1分プレゼンしろ!というとかなりの緊張感ですよね(笑) それを指導を始めてまだ2か月の子供たちが堂々と行ったことには敬意を表したいと思います。

また、こちらが聞き手の生徒の評価票です。

全て英語の発表を聞いても、普段音読している教科書内容の表現がたくさん使われていることから、聞き手の生徒にとっても理解しやすい発表となっていることが、この活動のいいところだと思っています。そのうえで、オリジナリティのある発表にすぐ気が付く!そして、しっかりと準備された発表に対しては心から敬意を表することができる、というのも互いの自己肯定感を高める良い要因になっていると思います。

ま、生徒からすると、「けっ!プレゼンかよ!ヤバい、めんどくさい先生に当たった😞」 的な印象もあるかと思っておりますが、案外、正面からこの課題に取り組みつつ、自分自身のスキルの上達を感じて楽しんでいるような様子も見られます。

アウトプットへの基本的欲求を満たしつつ英語のスキルも向上させたい!

やっぱり、人間だれしも、自分の考えやスキルをアウトプットしたい!!という欲求は少なからずあるはず!英語だって難しいけど「話したい」という気持ちは絶対にある!!その欲求をうまく引き出しながら、英語力の向上につなげていくことができたら、学ぶ側、指導する側の双方がストレスなく活動できる気がします。

その基本的な欲求に合致した活動として、今年の中3生にも十分に受け入れられた活動であったと思っています。原稿を覚えようと家庭で何度も練習しました!とのコメントも見られます。そのことで、学習した文法や表現を自分のものにすることができた、との感想も出ています。

なかなかの手ごたえを感じることができました。

下記、今回の活動についてまとめます。

この活動において生徒が獲得できたスキルは下記の通りだと思います。

  • 教科書本文をスラスラと音読できる力
  • チャンクごとの日本語→英語への変換作業の練習を通じてチャンクの成り立ちを理解
  • 本文の内容から自分が感銘を受けた部分を抽出して要約する力
  • この単元を通じて考えた自分の意見を英語で表現する力
  • まとまりのある内容を相手にアピールできるよう英文を構成する力
  • 既習の英文法(分詞の後置修飾やIt is ~to構文)を使って英文を作る力
  • 間違ってもいいから堂々と発表しようとする姿勢
  • 友達のプレゼンを聞いて何が良かったか評価する力

個人差はもちろん大きいです!上記の全ての項目を達成できた生徒もいれば、本文音読さえもそうとう頑張らないとできない生徒もいます。でも、この目標に向かって努力することが推奨されているんだな、という認識はほぼ全員の生徒が持てたと思われます。

実は、このことが最も重要なことではないかと思っています。週に4回の英語の授業において自分たちに求められているのは、文法と語彙の理解だけではなく、その知識を使って表現することなんだ!というベースとなる共通理解がクラス全員になされること!そしてその観点で評価されるのだと理解できること。

なので、良い評価を得ようとして、原稿を作成する段階で、言いたい表現をグーグル先生にお伺いしてもOK!英語に強い回りの誰か(親や塾の先生)に頼ってもOK! ただし、発表するのは自分だから最終的に責任もって自分が原稿を覚え、clear voice, eye contact, gestures に気を付けながら相手に伝わる発表をしなくては!と考えるベースがあるということ!それが一番のメリットかなと思っています。

また、自分がどんな構文を使って英語にしようかと自力で努力すること、そして一度間違え、添削されることが一番自分の力を伸ばすことにつながるんだよ、ということは何度も言っていますし、今後も何度も言います。

それでも自分の力でどうにもならないことでも、どうしても言いたいことがあれば、どんな手を使ってでも表現したいという気持ちは大切にしてあげたい、かなあ。と思い、塾の先生に聞いたり、グーグル先生に教えてもらうことを禁じてはいません。むしろ、応援してくれるものがあるほうがいいし、困ったときに使える手段について知っておくことは大事なことだと思っています。

生徒と保護者の本音も考慮しつつ・・・(;^_^A

ただ、中3生の生徒にとっても保護者にとっても現在、最大の関心事は、「入試における得点力」であることは間違いない。

speaking に力点を入れすぎると、文法力や語彙力が伸びない!だから得点力がつかない!

とのご指摘、SNS等、あちこちで多くの先生方がなさっているのをよく見かけます。でも本当にそうでしょうか!?

今回担当している2クラスの中3生約70名弱、確かに担当した当初、9月時点では実力テストで私の期待を大きく下回る平均点をたたき出していましたが、さあ、このスタイルで授業を続けていくことで今後どのような展開になるか・・・。自己評価表には、「嫌いだった英語がすこ~し好きになった」などのコメントも目にする今日この頃、ドキドキの展開です。

私の考えでは、まともに「話す」ためには、語彙や文法の知識とそしてそれをアウトプットするスキルやリスニングの力が必要なわけで、そのための学習を重ねることでペーパーテストでの得点力が伸びない・・?とは考えにくいわけです。speakingを入れることで他の知識の習得の過程を全てやめてしまうわけにはいかないわけでして・・・。

いわゆるコミュニケーション活動と称して、黒板に書かれた例文をただ読みながら一過性のゲームをペアで楽しむだけの活動ではありません。

「もういい加減飽きるんやない?」と言いたくなるほど、何度も繰り返して基本的なQAを繰り返す帯活動をしたり、教科書本文を日々10回ずつ音読したり、教科書本文を要約して話したリテリングの内容をノートに書いてくる、などの宿題を通して言語材料そのもののインプットとアウトプットを地道に繰り返すことなしには、「話す」活動や「書く」活動はできません。そのことがとりもなおさずペーパーテストの得点力UPに逆行するとは考えにくいのですが・・・。

さあ、その点についてはまた次回のご報告にて。良い報告ができますように(⋈◍>◡<◍)。✧♡

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